吸血鬼に狙われる…吸血鬼?

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言い切ってから急いでポケットからハンカチを出して僅かに傷のある腕に押さえ付けた。それから、名刺を出して相手に渡す。 「今日から、お前のプロデュースを担当する事になった、瀬戸七也だ。こう見えて事務所の社長とは長い付き合いだから、今日みたいな事は、今後、無いように……、なに、」 「本当に純血なんだな?」 目の前に寄った顔に、たじろぐ。ダメだ、こんなんで萎縮してたら相手の思う壺じゃないか。プロデューサーは時に厳しく、優しく、道を促して意見を言い合って対等に解り会えてこそ、の存在の筈だ。 「ほ、本当に純血だ」 「……まあいい、混血の場合、その内お前から頼んでくるだろう……血を、吸ってくれ、と」 「……」 誰が頼むか。睨み付ければ何が可笑しいのか僅かに笑われる。こいつを野放しにしちゃいけない、と本能が語る。弱味を見せてもダメだ。誰かが囲っていなければ、きっとこいつは本能のままに動くだろう。その誰かは、今は俺な訳だけど。取り敢えず今は、俺が担当だとして、事の顛末を話して直ぐにでもミチトさんに相談させて貰おう。 とまあ見栄は張るが、本当の所は無理!!だって、とにかく、かなり怖い。泣きそうだもん!! 「おめでとう、レキトから聞いたよ、レキトも気に入った、と言っているし、正式に、「ちょ、ちょっと待って下さいっ」 あの後、レキトは早々に闇に紛れて消えて、絨毯と床を綺麗に掃除してから女性を事務所に併設された専用の病院に預けて一日が終わった。今日出社したらミチトさんに呼び出されて、調度良いタイミングだし断るなら今だ、と話を切り出す前に言われてしまった。 「っレキトが吸血する所を間近で見たんです、」 「へえ!それはそれは、早速許されてるねぇ、先ずそんな所僕の前じゃ見せてくれないよ」 「……、いや、多分許されてるとかじゃ、ない気が、」 「ね、ならさ、暫くの間、でいいから、どう?レキトのプロデューサーは引き続き探してみるよ、暫くしてそれでも嫌なら代えるから」 「……、ミチトさんが言うなら……しかし何で俺なんです?」 「さあ、何でだろう、けどそうだな、……七也なら何かを変えてくれる気がしてね」 「……?」 「まあまあ、あまり深くは考えてないよ、ただの直感だ」 「そうですか……」 ミチトさんの直感は、よく当たるで有名だ。売れ出す子、落ちていく子。判断能力がずば抜けて鋭いのだと思う。
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