4人が本棚に入れています
本棚に追加
その周辺の林には、姿こそよく見えなかったが、たくさんの種類の竜がいることを計器が教えてくれた。
「いろいろいるんだな」
「この保護地域内で最も大きな水場ですからね」
「しかし、我々はすっかり避けられているようだ」
「警戒されているのでしょう。よそものですし、先ほど大型竜を何種か殺しました」
「返り血を浴びたかな」
「だとしても残ってはいないでしょうが」
「血のにおいがするか」
ルカーはためしに自分の手のにおいを嗅いでみたが、特別変わったにおいはしないように思われた。
自分ではわからない。従者にも差し出してみる。
ナディーラはその手をただうやうやしくとった。
「彼らはなにかにおいとは別のものを感じるのかもしれませんね」
ふと、赤い羽のあるちいさな竜が寄ってきたのが見えた。
それはてのひらに乗ってしまうくらいの大きさで、検分するようにルカーの周りを何回転かしてから、その肩にとまる。
「ちいさいのに勇敢なのか、おろかなのか」
「追い払いますか?」
「どうかな。ディヴァーギル、これは害のある生物か?」
最初のコメントを投稿しよう!