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彼がこんなに長いこと人型でいることは初めてだ。
ルカーは彼に話しかけるために顔を見上げなければならなかったし、ナディーラは常にルカーを見下ろすこととなった。
ふたりとも、どこか奇妙さを感じていた。
「どうかしたか?」
「やはりミリナイでは、星の光も弱いのだなと思いまして」
「たしかにセジェンダに比べたらくすんでいるかもしれないが、おれが育ったところに比べたらこれでもずいぶん明るいよ」
「あなたの故郷ですか」
「おれは、意外と都会育ちなんだ」
「都会暮らしなど、私には想像もつきません」
「興味あるか?」
「いいえ。特には」
「それはよかった」
「なぜです?」
「おまえが塔にいなくなったらおれが困ってしまうだろう」
ナディーラは、ルカーにじっと見上げられると、その青白い華奢なうなじを見下ろすと、心が妙にざわつくのは一体どんな理由があってのことなのだろうと思った。
そのような反応が自分のためになるものだとはどうにも考えづらい。
それでも、自分より低い位置にいる彼は、どこかナディーラの気持ちをざわつかせた。
「ミリナイのくすんだ星空の下でも、あなたのうつくしさはすこしもかげらないのですね」
「褒めてくれるのはうれしいが。まるで口説き文句だな」
ルカーはくすくすと笑った。
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