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「こういった場合、人ならばどうするのでしょうか」 「おそらく、彼のうつくしいひとにその想いを伝えるためくちづけを、する、のだろうと――」 ルカーが言い終わる前に、ナディーラは彼の顎をとってゆっくりとくちびるをあわせた。 「おまえが人のようにふるまう必要はないんだぞ」 「私は人ではありませんが、あなたへの忠心を伝えられるのであれば手段にはこだわりません」 「情熱的だな」 「もしお嫌でしたら、二度としないと誓います」 「嫌ではないが、すこし気恥ずかしいかもしれない」 夜目の利くナディーラには、言ったとおり、彼の頬から耳へかけての肌がすこし赤らんでいるのが見えた。 照れ隠しのようにすがめられた瞳の色はまるで宝石のような澄んだ青。 彼のようなうつくしいひとが誰にも愛を囁かれたことがないのだとしたら、人類とはなんとおろかなのだろうかと思う。 おろかでよかった。 ナディーラへの信頼を示しゆるやかに微笑むくちびるを、撫ぜる。 「もう一度、お許しいただけますか?」 「ああ。ゆるす」 再度、くちびるをあわせる。 ルカーがなかば反射的に口を開くと、ナディーラは誘われるように舌を侵入させた。 人よりも不自然に可動域の広いそれは、口腔内をゆったりと撫ぜる。     
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