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ルカーがそこへ落ち着いてもなお、昼間からついてきた赤い小型竜はルカーのそばにとどまっていた。
「竜はどのくらい生きるものなんだ?」
手慰みのように彼の背を撫ぜながら、ルカーが言った。
傍らにひかえるナディーラにではなく、ディヴァーギルへの質問だ。
『500年前後の種族が多い。長い種族は1000年以上も生きるが、100年足らずの短い種族もある』
「これは?」
『アカハネコウルマウの平均寿命は320年ほどだ。その個体は現在12歳ていどと推測される。あと300年ほどの命だろう』
「へえ」
ルカーは小型竜の背を撫ぜるのをやめ、彼を追い払うように手を振った。
追い立てられた小型竜は一時はルカーのそばをはなれたが、その上空を二、三周するとまたルカーのところへと戻った。
今度は膝の上に降りる。
『もしルカーが希望するのであれば、塔に連れ帰るのを許可する』
そう言ったのはなんと、ディヴァーギルだった。
あまりに意外な言葉に、一瞬理解が遅れた。
すこし遅れてその意味を理解したルカーとナディーラは、思わず顔を見合わせる。
「どうしたディヴァーギル。いやに寛容だな。おれの機嫌を取ろうとしているのか?」
『私に、あなたの機嫌をとる必要などない』
「そうだな。そのとおりだ。必要ない」
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