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『特別な問題はないと考える。保護地域は我々ですらよく調査しなければ感知できないほど入念に隠匿されているうえ、場所は密林の奥地、基本的には人類未踏の地だ。地元の人間がわざわざ危険をおかして入り込むような場所でもなく、今のところミリナイ人の研究者が訪れているということもない。竜の目撃例も、なんらかの理由で保護地域から抜け出した個体がもっと人里に近い場所で目撃されたものだ』
「抜け出したものも回収を?」
『抜け出したものが長期間保護地域の外にとどまることはできない。外部の環境ではそう長くはもたずに死亡する。抜け出したものもすぐにそれに気づいて保護地域へと戻るのだろう。今のところ外部で死骸が見つかった様子は見受けられない』
「なぜ死亡してしまうんだ?」
『主に大気の状態と気温の違いのせいだ。保護地域は太古のミリナイの環境が再現されている。現在のミリナイでは、彼らが必要とするそれらが充分ではない』
「つまり、凍死か窒息死か?」
『簡単に言えば、それに近い』
「では我々が保護地域を解体すれば」
『遠からず、みな同じように死を迎える』
「そうか。それが今回の始末の仕方なのだな」
ほどなく、ルカーの一行は宇宙艇でミリナイの当該地域へと向かった。
ルカーとナディーラのほかに、岩の小人や氷の鳥となったディたちが数多く搭乗した。
かつてない大規模編成だった。とにかく、人手がいる任務だ。
ディヴァーギルの誘導で、宇宙艇は難なく保護地域内のあるていど開けた場所へと着陸する。
それでは外へ出て調査を始めようとしたとき、ゴウンという大きな音と衝撃とともに船体が大きく揺れた。
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