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「なにがあった、ディヴァーギル」
ルカーは席を立った。
また、揺れる。揺れは何度も繰り返した。
『船体の上部に大型の竜が乗っている』
「縄張りに入り込んでしまったか?」
『そうではない』
ルカーはナディーラをともない、宇宙艇の外へ出た。
「ああ――」
そこでは、宇宙艇と同程度の大きさの竜が宇宙艇にまたがり、一定の拍子でその巨体を揺らしていた。
「Delta Romeo Alpha Golf Oscar November Charlie Alpha Romeo Sierra Echo X-ray」
「ん?」
「なんでもありません。ただ異星の言葉を思い出しまして」
『どうやら発情期にあたったようだ』
「あまりよくない時期に来てしまったのだな」
「そのようですね」
「我々の宇宙艇は、彼の種族のメスと似ているのだろうか? 彼とは、どうも似ていないようだが」
「しかし、オスとメスでは色や形の違う生物も多いですから」
「そうだな。メスは我々の宇宙艇と似ているのかもしれないな」
「あとでディヴァーギルに教えてもらいましょう」
「発情期といえば、エナベシワには発情期はないのか?」
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