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「ありますね。繁殖期の決まっていない動物の方が珍しいでしょう」
「おまえにも?」
「私にはありません。発情期のせいで仕事にならないと困りますから、そこは似せないようにしています」
「そうなのか」
『ルカー。のんきに構えている暇はない。早く“それ”を追い払え』
「なぜ急かす? 彼に我々の宇宙艇を壊すほどの力があるのか?」
『いや。宇宙艇が破壊されるほどの力はない。しかし――』
ディヴァーギルが言い終わる前に、大型竜は大きく身体をふるわせた。続いて大きな水音がして、彼が射精したことが知れる。
「おっと」
そうして目的を果たしてしまえば、大型竜はもはや未練もなく宇宙艇を放し飛び去っていった。
残された宇宙艇の噴出口には、黄色みの強いどろりとした粘液が付着しているのがうかがえ、あたりの空気にはわずかに生臭いようなにおいが混じる。
「なるほど。のんきに話しているべきではなかったな。宇宙艇は無事か?」
『故障はしていないが、噴出口の異物を取り除かなければ飛べないだろう』
「そうか。どうすればいい?」
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