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この密林は、生い茂る植物もまた現代のミリナイとは別のものだらけだった。 よく知ったものよりもひとまわりもふたまわりも大きな樹木のまわりに、奇妙な形の草や苔が生えている。見たことのないような色の大きなきのこもときどき見かけた。 全体的な規模(スケール)感が大きいうえ、ここに住む(ウルマウ)たちの大きさも相俟って、獣道というようなものでも人が通るには充分な広さがあったので、ルカーたちはそれほど足元を気にすることなく歩くことができた。 ときどき、やはり妙に巨大な虫や鳥などとぶつかるのが玉に瑕ではあったが。 「しかしずいぶん、気温と湿度が高いな」 ルカーは目を細めた。この土地はそもそも赤道直下に近く、日差しも強い。 「はい。太古のミリナイは星全体がこのような気候で、(ウルマウ)が繁栄しておりました。それにあわせた気候なのですね。おつらくありませんか?」 「平気だ。おれはただのミリナイ人ではない。氷点下(マイナス)170度の極寒の地でもなんともないのだから、このていどの暑さで傷ついたりはしないよ」 「しかし、このずいぶんと強い日差しのもとでは、あなたのような方は痛々しく思えてしまいます」     
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