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ルカーのその青い瞳と白い肌の痩躯は、はたから見ればとても熱帯雨林の奥地の環境に耐えられるとは思われないものだった。
実際には、本人が言うようこのていどの高気温と日差しは苦ではなかったが、見てるほうに不憫さを感じさせてしまうのは避けられなかった。
「心配性だな」
ルカーは苦笑した。この従僕はどうにも過保護なところがある。
「帽子くらい持ってくればよかったですね」
「それも、先代の持ちものに?」
「はい。偏光眼鏡もあります」
「彼女は本当にもの持ちだな」
「彼女は、あなたより血の薄いネファヴィリーだったということもあるかと。彼女にはあなたより多くのものが必要でした」
「そうか」
「あなたも、なにかお望みくださるならば我々はそれをご用意いたします」
「次は日焼けどめを塗れとでも言うか? おまえは、おれをまだちいさな子供かなにかだと思っているようなふしがあるな」
「実際に、あなたはお若い」
「おさないと言いたのだろう? そうだな。まだ100歳にも満たないおれなど、おまえたちに比べれば赤子のようなものだ」
「あなどってはおりません」
「そんなこと、疑ってはいないよ」
ルカーは手をのばし、ナディーラの指先をとる。
「迷子にならないよう手でもつなぐか?」
「我々はもとより別行動の予定では?」
ナディーラはそれを軽く握り返す。
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