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塔の案内などという戯れを終えて戻ると、折りたたみの丸椅子(スツール)がぽつんと用意されていた。 「背もたれはないのだな」 『必要ないだろう。ちなみに邪魔になれば折りたたんでしまっておける。そう場所をとらずに』 「便利だな」 「気をつかわずともよい、ルカー。実際、椅子のあるなしすら儂には関係ない」 「つかってませんが。ディヴァーギルの機嫌はまだあまりよくないのだなと思いまして」 「そうだな。難儀なことである」 ジーネゥは大して難儀ではなさそうにそう言うと、丸椅子に腰を下ろした。 とはいえきちんと座れているのかどうかもわからない、もはや椅子の有無など関係のないようなバランスだった。 『やはり必要なかったのでは』 「そうかもしれんな」
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