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*** 「静かだな」 「はい」 塔はいつも静かで穏やかだったが、それとも違う静けさがおとずれていた。 普段なら存在するわずかな雑音すらないような状態だ。 ルカーとナディーラは違和感をおぼえていた。 「ディヴァーギルの感応(テレパス)が薄い」 「ええ。時折感じますが、ほとんど消えているようですね」 空気が、ビリ、とふるえたような気がした。 ディヴァーギルの感応(テレパス)を途切れ途切れに感じる。 「ジーネゥ!」 ルカーは、この場にいない“彼”を呼んだ。 “彼”のしわざだと思った。そしてそれはおそらく正解だ。 「(なんだね、ルカー)」 いつもどおり鷹揚な声だった。しかしどこか演出されたようなものを感じる。 「ディヴァーギルとのテレパシーが弱い。あなたのせいだろう?」 「(心配ない。彼は無事だ)」 「当たり前だ」 「(おまえたちに面倒はかけんよ。ただ、彼と仲良くなろうと思ってな)」 ルカーとナディーラは、わずかながら事に不穏さを感じた。ふたりとも、いつぞやルカーが“彼”に言ったことをおぼえていた。 「ディヴァーギル。応えろ」 ルカーは直接ディヴァーギルを呼んだ。 『ルカー。私は――問題ない』     
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