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それを保つように集中すれば、余所見をするなとばかりに引き戻された。
“外”の彼らに影響させたくはない。
それの快不快を判断できるほど、ディヴァーギルは洗練されてはいなかった。
ただなすがままに翻弄される。
この戯れをいつまで続ける気だと問えば、“彼”は「儂の気が済むまで。もしくはおまえが理解するまで」と言った。
「戻ったか、ディヴァーギル」
ルカーが落ち着いた声で言った。
いつの間にか、塔には自然な雑音が戻っていた。
『ああ。おそらく』
「おそらく? ずいぶん歯切れが悪いな」
『問題はない。だが、多少混乱があるのは事実だ』
「なにをされたのかは聞かないほうがいいな?」
『された、わけではない。我々には多少の歩み寄りが必要だという合意があった』
「そうか。本当に、問題はないのだな?」
『ああ。機能は正常だ』
「そうではなく、おまえのことだ」
『…………感情などという機能を実にうらめしくは感じている。厄介だ』
「もしジーネゥがおまえに害をなすというのなら遠慮なく言うと約束しろ。そうすれば必ず、おれが排除する」
『約束はする。しかしその必要は今のところない。あれは、あなたのお気に入りの魚だろう』
「“彼”とはうまくやれそうか?」
『――――おそらく』
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