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『あの遺物の効果は、いわば幻覚作用だ。単純に考えれば、あなたの願望のあらわれということになるだろうが』 問いかける声も違っていたが、ディヴァーギルがルカーを違えることはなく、質問にはきちんと返答がある。 「このすがたが、おれの願望だと思うのか?」 『幻覚作用の効果を厳密に理解するのは私には難しい』 「そう言われても、子供のすがたであるのはともかくとしても、女性なのがいまいち解せないところなのだが――」 「それで、これは元に戻るのだな?」 今までふたりの話をおとなしく聞いていたナディーラが、ついに焦れたように言った。 『ああ。ミリナイ人相手ならともかく、ルカー相手ではそう効果が長続きするものではない。長くても72時間以内には元に戻るだろう』 72時間。それが長いのか短いのか、ナディーラにはうまく理解できなかった。 「では、その間に緊急の任務が入らないことを祈って待つとしよう」 しかしルカーは、ただのんきにそう言った。 幼い足取りでとことこ歩く。 ディヴァーギルとの話し合いを終え、ルカーは自室へ向かおうとしていた。 しかし―― 「なかなか進まないな」 立ち止まり、肩を落とす。 幼児の歩幅では、いつもの距離を歩くのにもいつもよりだいぶ時間がかかっていた。     
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