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本物の児童のようにすぐに疲れたりはしなかったが、じれったい気持ちはつのる。 「背中へどうぞ。お部屋までお送りします」 あるじに付き合いとなりをゆっくり歩いていたナディーラが、身を低くして言った。 「ああ。その手があったか」 ルカーはナディーラの背を撫でた。 彼の背も、いつもよりずいぶん近い位置にある。立ったままでもすこしも苦でないほどだ。 「体調が悪いわけでもないのに横着な気もするが」 「お気になさるようなことではありません」 「乗せてくれ」 「どうぞ」 ナディーラの触手の手を借りて、ちいさなルカーはその背に乗り上げた。 「ふかふかだ」 身を伏せてもはみ出したりはしない。 それは、彼にしてはずいぶん幼い所業だった。 見た目の年齢にひっぱられてのことなのか。さすがにこの状況が堪えているのか。 ナディーラは、あまり振動が伝わらないよう気をつけてゆっくりと歩き出した。 「ご不便があればなんでも遠慮なくおっしゃってください」 「ありがとう」 「たった数日の辛抱です。どうかお気を落とさずに」 「そんなにがんばって慰めようとしてくれなくても大丈夫だ」 ルカーはその背にぎゅっと抱きついた。 「こういうのはちいさな女の子のすがたのほうが絵になってよいのではないかな」 「客観視する者は誰もおりませんが」     
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