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「それは、なんだか残念だな」 女児のすがたでも、ルカーは案外くつろいでいるように見えた。 ナディーラの気持ちはまだ複雑なままだ。 それが彼だとわかっていても、そのすがたはナディーラをどこか不安定な気持ちにさせた。 その幼い少女のすがたは、客観的に見たらもちろん愛らしいけれど。 表情は彼のままなのがまた愛くるしいのだ。おとなぶった態度をとってみせる子供のようにも見えた。 しかし彼は実際におとなだ。その内面に比べたら元のすがたも充分子供のようではあったとしても。 おのれは自在にすがたを変えられる生き物であるくせに、他者が変われば焦れるというのは身勝手な気もするが。 ナディーラにとってはその能力は生まれもった特性にすぎず、ただ便利に使っていた。 彼も同じような気持ちを抱いたことがあるのだろうか? いや、彼は自由に変えられる生き物ではないから焦れるのかもしれない。 ふと、目の前のルカーが髪の毛をかきまわした。 「どうかなさいましたか?」 「髪が気になる」 「たしかに、いつもより長くなっていますからね」 「うむ」 「髪留めかなにかをさがして参りましょうか」 「頼むよ」 ナディーラは心得て、先代の荷物をさがしに向かった。     
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