『月夜のレプリカント・ラヴァー』

5/60
前へ
/60ページ
次へ
 残念ながら俺の嫌な予感は的中して、彼の細い指はベルトのバックルにかかり、カチャカチャという金属音と共にズボンの前が寛げられていく。ここまでされれば、さすがに何をされようとしているのかは嫌でもわかるが、何故そんなことをしようとするのか、についてはどう足掻いてもわかりそうにない。  そうして考え込んでいるうちに、少年の指が下着の内側に入り込みそうになり、俺は大慌てで抵抗する。この後起こり得る、あまり想像したくもないことを、何としても回避するために。 「おいこら! お前っ、何のつもりだ! やめ……離れろ!」  俺は少年の両肩を押して――華奢すぎて一瞬気が引けたが――自身から引き剥がそうとした。だが、この細い体のどこにそんな力があるのかわからないが、彼の体はびくともしなかった。抵抗をものともしない少年により、ついに下着を下ろされ、俺のモノがくすんだ蛍光灯の明かりの下に晒される。 「……いただき、ます」  脚を押さえられ息を呑む俺を前に、虚ろな目でそう呟き、少年は萎えている俺のモノを小さな口の中に――含んだ。 「うわ、っ!?」  下腹部を這う濡れた感触に、思わず悲鳴染みた声を上げる。驚くほどに熱い舌が、まるで飴でも舐めるかのように咥内のモノを愛撫する。  ――俺は、こういった行為が嫌いだ。だから、自慰も正直あまりしない。けれど今はそれが仇となった。  口淫を受けた経験がそれほど多くある訳ではないが、少年の舌使いが巧みであることはよくわかる。ともすればあっという間に達してしまいそうなくらい、彼のそれは気持ちが良かった。思わず息が漏れるのを抑えられない。 「……ん、くっ……!」  いよいよヤバくなってきた俺は、懸命に俺のモノに舌を這わせ続ける少年の肩を押し、引き剥がそうと奮闘した。 「おい……! ほんと、シャレになんないから離してくれ……!」 「……ん、ふっ……このまま、ください……っ」  一瞬だけ口を離した少年の濡れた唇の隙間から、掠れた懇願が零れ落ちる。「……おねがい」という甘えたような声が耳に届いた次の刹那には、俺は彼の咥内に熱を吐き出していた。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加