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腰の奥が熱く溶けそうなほどの快感を感じ、荒くなる呼吸をなんとか落ち着かせながら、少年の方を見る。彼は、俺の吐き出した精液を、まるで甘く濃厚な蜂蜜でも口にするかのような満足げな表情で、飲み下していた。咥内から溢れ、唇や顎を汚したものまで指先で掬い、余すところなくそれを口に含み喉を通す。そして、少年は眠りに落ちる寸前の子供のようにとろんとした瞳で、一言「ごちそうさま、でした」と呟くと、そのまま糸が切れたように倒れ、寝息を立て始めた。
「…………なんだよ、これ」
いっそ、禁欲的な生活の果てに見た淫夢だったならどんなに良かったか。けれど、俺の濡れた下腹部が空気に晒されたことにより与えられるひやりとした感覚は、残念ながら紛れもなく現実だった。
今更調理する気にもなれない蓋の開いたカップラーメンと、保温状態のまま放置されていた電気ポットの唸りが、俺のやるせなさを助長した。
***
「ほんっとうに、申し訳ございませんでした……!!」
朝早くから俺の前で綺麗な土下座を披露しているのは、昨夜俺に散々無体を働いた(というほどのことでもないが)少年その人である。
昨日とは違い、言葉もはっきり話すし目にも生気が宿っている。顔は同じだが、振る舞いはまるで別人だ。
あの後、倒れた少年をそのまま床に転がしておく訳にもいかず、半分放心状態でなんとか身なりを整えた俺は、彼を再度自分の煎餅布団へと運んだ。それからはもう、何もする気になれず、俺も予備の毛布を引っ張り出して、座布団を枕に床で寝た。おかげで体は痛いし疲れも抜けていない。なんとも最悪な朝である。
「……昨日のことは、覚えてるんだな?」
「はい……。途切れ途切れ、ですけれど……」
――シャットダウン中の記憶は保持されないもので……。
まるで自身が機械か何かであるかのような言い回しに、引っかかりを覚える。
「単刀直入に聞く。……お前は、何者なんだ?」
「……もう、薄々お察しのこととは思いますが、ぼくは人間ではありません。……アンドロイド、なんです」
中でも、自分は性的行為に特化した、所謂「セクサロイド」なのだと、少年は言った。なるほど、それならば昨夜の巧みな舌使いにも説明が……って違う違う!
「そんな……漫画みたいな話が……」
「でも、実際に現物がここに居ますよ」
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