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そう言われても、俄には信じ難い。だが、その話を受け入れてしまえば、合点がいく事象があまりにも多かった。過剰に整った容姿だとか、発見時には確かに呼吸をしていなかったはずなのに、今こうして普通に動いていることとか。
「……百歩譲って、お前の話を信用したとして……お前は、どうしてあんな所に居たんだ?」
疑問はそれだけではない。そもそもそんな都市伝説染みた存在なら、ひとりでふらふらと街中をほっつき歩くことが許されるものだろうか。しかも、エネルギー切れで倒れるまで。
「それは……」
言い淀む少年を前に、考える。もしも彼に「持ち主」と言えるような人間が居るのなら。本来の居場所と言うべき所があるのなら。そこに戻すのが正当だろう。
何らかの理由により、そこから逃げ出してきたという可能性を、俺は意図的に見ない振りをした。
「何にせよ、お前を警察に届けるのが、一番いい方法だろうな」
「そっ、それはダメです! お願いします、それだけは……!」
途端に蒼白になった少年が言い募る。機械だというのに、随分と表情が豊かなのだな、と、俺は他人事のように未知の技術に内心で感嘆する。
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