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「なんでもしますから、ぼくをここに置いてください!」
「断る」
「そこをなんとか!!」
大人しそうな顔して、こいつなかなかしつこいな……。
秒で申し出を却下した俺の態度にもめげず、尚も少年は食い下がる。
こいつにはこいつの事情があるように、俺にも俺の事情がある。面倒事を抱え込むのはごめんだ。俺は、自分のことだけで手一杯だし、他人の息遣いを感じる暮らしなんて、したくない。アンドロイドだとかセクサロイドだとか、そんなのは関係ない。
「嫌だ。絶対に」
「でも……!」
「あー、くそ! もうこんな時間じゃねえか! 悪いがお前と問答してる時間は無い。仕事に遅れる」
――誰かさんのせいで疲れも取れてないし、腹も減ってる!
捨て台詞のように少年にぶつけた言葉は八つ当たりに等しく、俺はそのせいでますます苛つく。今にも泣き出しそうな表情をしている彼の顔をこれ以上見ていたくなくて、わざと慌ただしげに出勤の用意を進める。朝食は道中のコンビニでおにぎりでも買おう。
「……あ、あのっ」
「……俺が帰るまでにこの部屋を出てくれ。鍵はポストに入れてくれていい」
少年の顔は見ないよう、俺は鍵を後ろに放ると、逃げるように部屋を飛び出した。
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