霊媒体質

　大学の友人は、所謂霊媒体質で、空気の悪いところに行ったり、曰く付きの場所を通りかかったりするだけで、胸を押さえてうずくまることが多かった。先祖代々、霊を相手に商売をする家系なのだという。その血を脈々と受け継いだ彼も、人には見えないもの、聞こえないものを感じ取ることができるのだという話であった。

　霊が、勝手に話しかけてくるのだという。

　気が強かったり、精神的に安定している人ならば、多少霊の声が聞こえたり、姿が見えたとしても、大した事態にはならないのだそうだ。しかし、彼はその影響をもろに受けてしまう。
　確かに、彼は人の良さそうなところがあるし、優しく、嫌なことはノーと言えないタイプであった。人間関係でも押しが弱いということは、霊関係でもそうなのかもしれない。

　だから、心配していたのだ。いつかこういうことになるのではないか、と。