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「ええ。お久しぶりです。最近は『椿』にもお越しになられないから如何お過ごしかと思っておりましたよ」
萩月はそう言うと俺の横にまで来て『天竺牡丹ですか』と呟いた。
「貴方の店に入り浸っているモノと逢うのを避けたいがためです。貴方を避けているわけではない」
俺はそう言ってその赤黒い天竺牡丹にそっと指先で触れてみた。
その赤黒い天竺牡丹は根元辺りで切られて銀色の桶の水の中に浸けられていた。
しかし、それはその天竺牡丹だけではなかった。
他にも多くの花が同様に切られ、その銀色の桶の水の中に浸けられていた。
解せない・・・。
そう思うと同時に俺は目を細めていた。
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