天竺牡丹

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「どうかされましたか?」 俺の顔を横から覗き込み、そう訊ねてきた萩月(はぎづき)はどこかキョトンとしていた。 この男は滅多なことがない限り、心を読む心読(しんどく)をしない。 心読(しんどく)をすれば俺の心の内など容易く見抜けるだろうに・・・。 「どうして多くの花を切り、置いているのかと思ったのです」 俺の疑問を聞いた萩月(はぎづき)は『嗚呼・・・』と声を漏らし、笑んだ。 「ここは『花屋』と言う『店』なんですよ。花を売って商いをしているんです」 花を・・・売る? また人はわからないことをする・・・。 俺はその『花屋』と言う『店』の中へと目を向けた。 その店の中には二人の若い男がいた。 一人の男は黒髪で眼鏡を掛けていた。 もう一人の男は茶色の髪をしていた。
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