天竺牡丹

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花咲月(やよい)くん?」 茶色の髪をした男は不思議そうにそう言って小首を傾げた。 それにその『花咲月(やよい)』と言う男は何の反応も返さず、俺の居る方をじっと見つめていた。 まさか・・・な・・・。 「・・・花咲月(やよい)くん?」 茶色の髪をした男が再び黒髪の眼鏡を掛けた男の名を呼んだ。 「・・・黒い・・・着物?」 その『花咲月(やよい)』と言う男はポツリと呟いた。 この男・・・。 俺はジワリと口元にだけ笑みを滲ませた。 久方ぶりだ。 なまじな人間で姿を消した俺を視つけるモノに出逢うのは・・・。 「黒い着物? え? 何?」 茶色の髪の男はそう言って店の中をきょろきょろと見回した。
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