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「・・・大丈夫。なんでもない」
花咲月と言う男はそう言うと俺の居るところから目をそらし、茶色の髪をした男に淡く微笑み掛け、小さな溜め息を吐き出した。
それに茶色の髪をした男は嬉しそうに微笑み返していた。
恋慕・・・。
俺はその微笑みをそう見受け取った。
同性であっても恋はするものだ。
俺は心の内でそう呟き、その店を出て辺りを見回した。
「帰られたか・・・」
俺はなくなった萩月の姿を探していた。
久方ぶりに逢ったと言うのにまともに礼も挨拶も言葉も交わさずに無礼なことをしてしまった・・・。
俺はその不徳な行いに大きな溜め息を吐き出し、その場を離れた。
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