天竺牡丹

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「こんばんは」 その声に俺は聞き覚えがあり、ふっと笑んでいた。 あの男だ・・・。 俺は灯りの乏しい夜道を振り返り、その男の姿を確認した。 「視えているな」 俺の言葉にその男はクスリと笑うと『ええ』と答えて、戸惑うこともなく俺の元へとやって来た。 「昼間はお店に来てくださっていたのに何も反応せずにすみませんでした」 またおかしなことを言う男だと俺は思った。 「変わり者と・・・言われるだろう」 俺は堪らずそんなことをその男に訊ねていた。 それに男はまたクスリと笑って『そうですね』と答え、俺の前に茶色の紙に包まれた細長い包みを差し出した。 俺はそれを男から受け取り中を確認した。
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