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「・・・天竺牡丹」
覗き込んだ先にあったのはそれだった。
「・・・何故?」
俺は訊ねつつ、紙に包まれた赤黒い天竺牡丹を凝視した。
その赤黒い天竺牡丹は俺が昼間、目にしていたものだった。
「見られていたものと違いましたか?」
男はそう言うと小首を傾げ、俺をじっと見てニコリとした。
嗚呼・・・本当におかしな男に捕まった・・・。
「いや・・・確かに見てはいたが・・・何故わざわざ?」
俺は目の前に居る男の行動の意味が全く理解できなかった。
何故、俺に花を渡す?
この男は気づいているはずだ。
俺がなまじな人間でないことを・・・。
それなのに何故?
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