13人が本棚に入れています
本棚に追加
「そろそろ帰らないと・・・」
男はそう呟くなり本当に淡く微笑んだ。
その男のその微笑みは何か大切なモノを想った時に溢す微笑みだった。
「・・・待ち人でも居るのか?」
俺の問いに男は微笑んだまま『ええ』と答え、夜空を見上げ、見つけた見た。
「星が凄いな・・・」
その男のその言葉に俺も夜空を見上げ、そこに散りばめられた星屑を見つめ見た。
『雨月様! 見てください! お星様が綺麗ですよ!』
嗚呼・・・懐かしい声が聞こえる・・・。
『雨月様。一緒にお酒・・・飲みませんか?』
嗚呼・・・本当に・・・。
「またお立ち寄りください。その時にはちゃんと接客致しますので」
男はそう言うと丁寧に俺に頭を下げて暗い夜道を臆することなく歩んで行ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!