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「十時さ~ん?」
屋敷の中から聞こえたそのあどけない声に俺は知らぬうちに笑んでいた。
どうやら二人は今も仲良くやっているようだ。
俺はその屋敷の様子を門の外からそれとなく窺った。
夕食は済んだだろうか?
風呂には入っただろうか?
そんなことを想う。
「入らないのかい?」
今日は本当に大物ばかりに当たるな・・・。
俺はそんなことを心の内で呟き、門の下に『花咲月』と言う人間の男から譲り受けた天竺牡丹を置き、そう声を掛けてきたモノへと目を向けた。
「まだ時期じゃない。そう言う貴公は何故、此処に?」
俺は蒼い目をしたそのモノを凝視した。
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