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「・・・十時さん」
僕の名を遠慮がちに呼ぶ幼声が聞こえた。
その幼声は優しく、柔らかく、僕のことを憂いていた。
僕は一体・・・何をしているのか・・・。
僕は無理に微笑み、その幼声を発している少年・・・雪を振り返り、見つめ見た。
雪はいつ見ても儚く、柔い印象の子だ。
それはほんのちょっとしたことでも壊れてしまうのではないかと不安になってしまうほどに・・・。
けれど・・・この子は・・・雪はそんなに脆くはない。
僕は知っている。
雪が強いと言うことを・・・。
「家の中に入りましょう。お水に浸けてあげないとお花が枯れてしまう」
僕の言葉に雪は『はい』とだけ答えてどこか痛むようなそんな表情を滲ませた。
嗚呼・・・本当にこの子は・・・。
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