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「雪。心配・・・ありがとう。大丈夫です」
僕はそう言って雪に天竺牡丹を差し出し、預けて無理をしつつも微笑んでみた。
この子は・・・雪は優しい。
だからこそ傷つくことも多い。
「折角のお花です。一緒に生けましょう」
僕の促しに雪は元気なく『はい』と答えて何かを真剣に考え込んでいる様子だった。
「・・・雪? どうかしたの?」
僕の問いに雪は『ん~・・・』と声を漏らして困っていた。
雪は一体、何を悩んでいるのだろう?
「どうしたら・・・どうしたら十時さんが僕を頼ってくれるのかなって・・・」
雪のその言葉に僕は盛大に吹き出した。
嗚呼・・・もう・・・本当にこの子には敵わない・・・。
僕はそう心の内で呟いて小さな雪をそっと優しく抱きしめた。
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