1話 紫陽花の色がずっと好きでした

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ある時を境に友達全員が僕のことを避けるようになった あれは高校1年生の秋だった 体育で球技大会の練習をしていた時だったよな。 どの球技をやってもうまくできない僕を見て 「カンザキってお前何もできねえよな」 その一言で僕は真に受けてしまい、つい 「お前らと違って俺は速く走れるからいいんだよ」 あれが全ての始まりだった。 今気づけば距離を置いたのは僕の方からだったのかもしれない。 陸上では長距離をやっていた いくら個人で速いタイムで走ったとしてもチームスポーツの駅伝部として走ったことは一度もなかった。いや、僕が辞退したんだ。 人生のピークが3度あるとはよく言ったものだ、そのあとの学校生活は何1つうまくいかなかった。 顧問の先生は正月に開催する某駅伝大会で司会を務めるようなすごい監督だ。 しかし、僕はよく言い合いのを起こしに職員室に来るもんで職員室の入室禁止令が出ていた時期もあった。 大学も家族には媚を売って、本音はやりたいことが何も見つからなかったんだ。 子供は生意気だけど僕は親にとっての七光ででありたい。 そう思っていた。 いやそう思っていたかった。 だから僕は諦めて東京に来たんだ。 社会に対しては何も恨みはない。むしろ感謝しているくらいだ。 海外に夜中歩いてコンビニに行ったら殺される危険性のある国もあるらしい。勿論もしもの話だ。 大学に入ってから親友の「相川結」と ゼミの友達の「遠藤聖」 そして僕の三人でギターロックバンドを組んだ 今更だけどごめんなさいなんて思わないし ありがとうなんていうつもりはさらさらない 地元が嫌い それだけは変わらなかった
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