1話 紫陽花の色がずっと好きでした

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7~8分待つと電車が来た 電車の席が空いているのを見て、1本くらい逃しても別に良かったと言い聞かせた。 たまたま誰も座っていない電車の優先席の端に座った。 車窓に映る水色の空と、その中を泳ぐ青白い山が一瞬で過ぎていく。 急いでいるはずだが、半分諦めながら電車に乗っている僕なんが優先席に座っていていいのだろうかといつも考える。 電車は動いているのに僕の時間は止まっているようだった。 僕は携帯を眺めていた顔を電車の車窓に移す。 快速の電車は何個も駅を走り抜けた。 僕は座席を膝立ちで外の風景を眺めていた。 すると女子高生風の背の小さいショートカットの女の子が話しかけて来た。 「あ、何が見えるんですか?」
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