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「来た方がいいよ!」
ここへ来るまでは確かに関心がなかった。
だけど、那波のふざけた態度が癇にさわる。
何だか意地になってきた。
(那波をちゃんと学校に戻せたら、カズくん数学オマケしてくれないかな…)
多分不可能であろう事を、色んな方向に楽観的に考えてしまう。
部活の子達だって那波に復活して欲しいみたいだし、コイツは学校に友達も沢山いる。
それに、那波自身だって高校に通った方がいいに決まってる!
もともとのお節介な性格に、火が点いた。
「ちゃんと学校に来なよ!」
ムキになって言ってしまった。
「…………なんでお前がそこまで言うの?」
急に冷静になっている那波。
(うわ……私、無意識に熱くなってた…)
那波と対象的に、私は恥ずかしくなってきた。
「そこまで言うんなら、明日また来いよ」
「え?」
「明日ここに来たら、次の日は学校に行ってやる」
那波は親指を下げて、ここ、とドアを指した。
「そんな事言うなら、明日学校に来たらいいじゃん!」
「……そういう事で、明日な」
那波は笑ってドアを閉めた。
ゲーム開始、みたいな顔だった。
(何よ、それ……)
次の日、隣の席はやっぱり空いたままだった。
「行く…べきなのかな」
放課後、私は昨日来た道をまた歩いた。
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