☆1☆ 説得

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「来た方がいいよ!」 ここへ来るまでは確かに関心がなかった。 だけど、那波のふざけた態度が癇にさわる。 何だか意地になってきた。 (那波をちゃんと学校に戻せたら、カズくん数学オマケしてくれないかな…) 多分不可能であろう事を、色んな方向に楽観的に考えてしまう。 部活の子達だって那波に復活して欲しいみたいだし、コイツは学校に友達も沢山いる。 それに、那波自身だって高校に通った方がいいに決まってる! もともとのお節介な性格に、火が点いた。 「ちゃんと学校に来なよ!」 ムキになって言ってしまった。 「…………なんでお前がそこまで言うの?」 急に冷静になっている那波。 (うわ……私、無意識に熱くなってた…) 那波と対象的に、私は恥ずかしくなってきた。 「そこまで言うんなら、明日また来いよ」 「え?」 「明日ここに来たら、次の日は学校に行ってやる」 那波は親指を下げて、ここ、とドアを指した。 「そんな事言うなら、明日学校に来たらいいじゃん!」 「……そういう事で、明日な」 那波は笑ってドアを閉めた。 ゲーム開始、みたいな顔だった。 (何よ、それ……) 次の日、隣の席はやっぱり空いたままだった。 「行く…べきなのかな」 放課後、私は昨日来た道をまた歩いた。
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