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リオンはしゃがみこんで、金平糖を拾い集めた。金平糖の形がぐにゃりと歪み、ぽたり、と水滴が床に落ちた。どう見たって、わざと瓶を落としたようにしか見えなかったのだ。
リオンは、床にしゃがみ込んで、顔を覆った。あとからあとから、涙が零れ落ちる。
きっと、ダンテはリオンを嫌いになったのだ。意気地がなくて、弱虫のたんぽぽが、嫌になったのだ。
☆
翌朝、リオンは泣きはらした目で登校した。うつむきがちに下駄箱へ向かい、靴を履き替えていたら、おはよう、と声をかけられた。顔をあげたら、ダンテと腕を組んだシルヴィアが立っていた。
ダンテは、無関心な目でこちらを見ている。シルヴィアはリオンを見て、くすりと笑う。
「大丈夫? なんだか、目が真っ赤だけど」
「大丈夫、です」
リオンはぎこちなく言い、二人から逃げるようにその場を後にした。
ダンテとシルヴィアが「くっついた」という噂は、すぐさま校内を駆け巡った。そこかしこで目撃される二人の親密ぶりは、全校の女子に衝撃を与えた。
「えーっ、ダンテさまが恋!?」
「バカな! ダンテさまはみんなのものなのよ! たかが一人の女が占有できるものですか!」
「膝抱っこしてたって!」
「私は食べさせあいっこしてたって……」
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