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こわす×われる
アルフレッドとリオンは、図書室にある閲覧コーナーにいた。ダンテと図書室に来た時もジロジロ見られたが、女子生徒たちからの厳しい視線にさらされて、リオンは肩をすくめる。
見目麗しいから、というのもあるだろうが、つくづく、ロズウェルの名とは特別なのだ、と思う。もしくは、薔薇の魔術花(プリティモ)が──だろうか。
ダンテの変わりようを思い出すと、胸がちくりと痛くなる。薔薇にはきっと、他の花にはない魔力が秘められているのだろう。
アルフレッドはリオンと共に閲覧コーナーへと向かった。椅子に座って腕を組み、
「あいつ、今朝から変なんだ」
「へん、ですか?」
彼はうむ、と言い、
「普通、俺が抱きしめようものならすぐさま薔薇の蔓が飛んでくるのに、今朝は無反応で、されるがままなんだ」
リオンはちょっと引いた。抱きしめたのか……。あの図体の弟を。
「実は、私も少し違和感が。目が……ダンテらしくないなって」
「リオンもそう思うか」
頷くと、アルフレッドが目を細めた。
「やっぱりあの女、何かしたのか……」
「あの女?」
「シルヴィアのことだ。今朝、ダンテの呪いが解けたんだ」
「呪いが……? ほんとですか?」
「ああ。キスで」
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