67人が本棚に入れています
本棚に追加
呪い×同居
「あの……大丈夫?」
リオンはカバンからタオルを出し、ダンテに差し出した。彼はタオルをひったくり、髪をわしわしと拭きながら、不機嫌な声で言った。
「まったく。いきなり水をかけるか、普通」
「あなたがあんなことするから」
ダンテはタオルを頭から外したあと、へくし、とくしゃみをする。
「うちは遠い。おまえのうちに連れて行け」
そんなことを言われ、最初は断ったのだが、俺が風邪を引いたらおまえのせいだ、劣等生のくせに生意気だ、と子供のようなことを言い募られ、仕方なく自宅に連れて来たのだ。
リオンが住むアパートを見たダンテは、「ボロい」「ショボい」「壁が薄い」と散々な評価をくだした。
確かに素敵というわけじゃないが、そこまで言わなくてもいいじゃないか。リオンはそう思ってむくれる。ロズウェルは名家だし、よほどの豪邸に住んでいるに違いない。
一人暮らしだから、ほんとは連れてきたくなかったんだけど……。リオンは、自室の鍵を開け、ダンテに入るよう促した。ダンテは室内に入ると、興味なさげに辺りを見回した。
紅い瞳と目が合い、どきりと心臓を鳴らす。先ほどのキスを思い出すと、頭の奥がぴりぴりした。キスしたのなんて、初めてだったのだ。
「お、お茶、淹れるから、座ってて」
ギクシャクしながら台所に向かい、マッチを擦ってコンロに火を入れる。やかんに水を入れて火にかけ、お湯が沸くのを待った。
ずらりと並んだ缶に目をやる。すべて、リオンが自分でブレンドしたオリジナルティーだ。
なんのお茶にしようかな。こないだ煎じたローズティーが……。
と、背後に気配を感じて振り返る。ダンテがじーっとこちらを見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!