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「ひぃ」
思わずシンクにすがりつくと、ダンテがあざけるように言った。
「なにびびってるんだ?」
「い、いきなり後ろに立たないで」
「俺がおまえに襲いかかるとでも思ってるのかよ」
「だって、さっき、キス」
リオンがかあっと顔を赤らめたら、ダンテが目を細めた。
「あれは、ほんとうに呪いを無効化するのか試しただけだ」
「……呪い?」
ダンテは手のひらをこちらに向けた。火傷痕のようなものが見えた。薔薇の形をしている。これは──タトゥー?
「これは?」
「薔薇の呪印。おまえとキスする前はもっと濃かった」
彼はそう言って、リオンの唇をついっとなぞる。リオンはびくりとして、目を泳がせた。距離の近さに、心臓がばくばく鳴りだす。
「ロズウェルには、隔世遺伝でこの呪印を負う男児が生まれる」
「呪いって……」
「俺の心臓には薔薇の蔓が絡みついてて、いつ心臓が止まるかわからない状態なんだ」
今日か、明日か、明後日か。
「薔薇の呪印が濃くなればなるほど、危険は大きくなる」
そんな話は聞いたことがない。リオンが困惑しながらダンテを見上げたら、
「信じてないのか? 綿毛」
「綿毛じゃないわ。リオンよ」
そう訂正し、
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