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ふわふわ×トゲトゲ
鳥の鳴き声が聞こえてくる。ああ、朝だ……起きなきゃ。リオンはうう、とうめき、ゆっくり目を開いた。こちらを見つめる紅い瞳と視線が合う。
「!?」
「おはよう。寝顔も間抜けだな、綿毛」
ベッドに肘をついてこちらを見るのは、すでに着替え終えているダンテだった。リオンは枕を抱きしめて叫ぶ。
「な、なんで私の部屋に!」
彼はしれっと、
「いつまでも寝てるからだろ。腹が減った。なんか作って」
──私はお手伝いさんか何か!?
「自分で作ればいいじゃない」
「作ったことがない」
そうか、ダンテはお坊ちゃんだった……リオンは彼から後ずさり、「着替えるから出てって」と言った。
ダンテが出て行くのを見届け、リオンはパジャマを脱ぎ始めた。ちょうど首からパジャマを脱いだ瞬間、がちゃ、と扉が開く。
「なあ、新聞は」
扉の向こうから顔を出したダンテと、視線がかちあった。
「キャーッ!」
リオンは思い切り叫び、彼に枕を投げつけた。
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