ふわふわ×トゲトゲ

1/8
前へ
/162ページ
次へ

ふわふわ×トゲトゲ

 鳥の鳴き声が聞こえてくる。ああ、朝だ……起きなきゃ。リオンはうう、とうめき、ゆっくり目を開いた。こちらを見つめる紅い瞳と視線が合う。 「!?」 「おはよう。寝顔も間抜けだな、綿毛」  ベッドに肘をついてこちらを見るのは、すでに着替え終えているダンテだった。リオンは枕を抱きしめて叫ぶ。 「な、なんで私の部屋に!」  彼はしれっと、 「いつまでも寝てるからだろ。腹が減った。なんか作って」  ──私はお手伝いさんか何か!? 「自分で作ればいいじゃない」 「作ったことがない」  そうか、ダンテはお坊ちゃんだった……リオンは彼から後ずさり、「着替えるから出てって」と言った。  ダンテが出て行くのを見届け、リオンはパジャマを脱ぎ始めた。ちょうど首からパジャマを脱いだ瞬間、がちゃ、と扉が開く。 「なあ、新聞は」  扉の向こうから顔を出したダンテと、視線がかちあった。 「キャーッ!」  リオンは思い切り叫び、彼に枕を投げつけた。
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加