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基本的に、白衣は実験の時にしか着用を許されていない。ダンテが制服ではなく白衣を着ることを許されているのは、彼が特別だからなのだ。
「見るな。変に思われる」
「私だけじゃない、みんな見てた」
「言い訳するな。綿毛のくせに」
なによそれ。
「大体あなた、どうしていつも白衣を着てるの?」
「制服は着替えるのが面倒だから。あと色が嫌いだ」
フラウィザードの制服は黒と銀を基調にしている。なかなか素敵なデザインだ、とリオンは思っていたのだが。リオンの表情を見て、ダンテはこう付け加えた。
「嫌いなのは──兄貴たちの頭の色と同じだからかもな」
「ダンテって、お兄さんがいるの?」
「ああ。バカとアホだ。銀髪がアホ。黒髪のやつはバカって相場が決まってるんだよな」
随分な言いようだ。
「あなたも黒髪じゃないの」
「とにかく見るな。わかったな」
一方的に話を打ち切り、ダンテはさっさと歩いて行った。
「……なによ、見ないもん」
そうだ、いくら綺麗でも、ダンテは偉そうだし意地が悪い。それに、強引で自分勝手だ。リオンはさっさと歩いていくすらりとした後ろ姿に向かい、べえっ、と舌を出した。
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