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【あるところに、魔法の国がありました。その国には、とても美しい王子様がいました。誰もが見惚れるくらいに綺麗な王子様は、みんなの憧れのマトでした。だけど王子様には、一つだけ弱点がありました。
彼は魔法が使えなかったのです。魔法の国の王子様なのに、魔法が使えない。王子様は、そのことをいつも悩んでいました。
そんなある日、狩りをするため、森に出かけた王子様は、ひとりの魔女に会いました。魔女は王子様に、一輪のバラを差し出しました。
「これを食べれば、あなたは魔法が使えるようになりますよ」
森に住む魔女の言うことはきいてはいけない、という言い伝えを、王子様はやぶりました。どうしても、魔法を使えるようになりたかったのです。
バラを食べた王子様は、魔法が使えるようになりました。みんな、王子様が魔法を使えるようになったことを喜んでくれました。
しかし、それ以来、夜になると、王子様ははげしい痛みにくるしめられるようになりました。原因は、魔女が飲ませた花でした。吐き出そうとしても、血がたくさん出るだけです。王子様は、薔薇の棘が全身から生えるのろいにかかっていました。
自分で自分を抱きしめても、傷つくばかり。苦しくて、痛くて、血がたくさん出た王子様のところに、いい魔女がやってきました。
「私があなたをたすけてあげる」
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