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その夜、リオンは、なぜか寝付けなくて寝返りを打った。明日も学校があるんだから、寝ないといけないのに。何度か布団の中をごろごろして、むくりと起き上がる。なんだか、喉が渇いていた。水でも飲もうか。
そう思い、ベッドから起き上がる。部屋から出て、居間を通り抜けようとしたら、ソファのあたりから、苦しげな呻き声が聞こえた。
「……ダンテ?」
リオンは、目を凝らしながら、ソファの方へ向かう。ソファに寝転んでいるダンテが、眉をひそめて呻いていた。いつも涼しい顔をしているのに。端正な顔立ちは、苦痛に歪んでいる。額に汗が滲み、ひどく辛そうだった。
「ダンテ、どうしたの? 苦しいの?」
リオンは慌ててダンテに近づいて、そっと額に触れた。しかし、彼はそれを避けるように身をよじる。
「……平気、だ」
「でも」
「触るな、棘が……」
棘? よく見たら、ダンテの身体を淡く光る細いツルが覆っていた。無数の棘が、彼の肌に食い込んでいるように見える。リオンはその光景に、身体を震わせた。
「こ、れ……」
「夜は、いつもこんなものだ。前よりは、ましだから」
「じゃあ、昨日も?」
朝早くから起きていたのも、眠れなかったせいなのではないか。
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