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チュンチュン、という鳥の鳴きごえが聞こえてくる。いつの間にか、朝がきていた。リオンは目をこすり、ふあ、とあくびする。ダンテの顔を覗き込み、ホッとした。安らかな寝顔だ。
さて、彼が起きだす前に朝食を作るか。そう思って立ち上がろうとしたら、くい、と腕を引かれた。
「!?」
乱れた黒髪の下、紅い瞳がじっとこちらを見ている。
「あ、ダンテ、おはよう」
「跡」
「え?」
彼は腕を伸ばし、リオンの?に触れた。リオンはびくりとして、ダンテを見る。昨日の口付けを思い出すと、顔が熱くなった。彼はするりとリオンの?を撫でて、
「ソファの跡、ついてる」
「あ……」
リオンは慌てて?をこすった。ダンテはくあ、とあくびをし、
「──なんでおまえ、ここで寝てたの」
「え、また呪いが発動したらいけないと思って」
「ふーん」
彼は起き上がり、伸びをした。シャツから覗いている肌に、傷跡はない。内心ホッと息を吐く。
「今日は時間あるからパンケーキにするね。ちょっと待ってて」
台所へ向かい、卵を割っていたら、ダンテが隣にやって来た。髪が乱れたままだ。
「なに?」
「俺もやる」
「できるの?」
その問いに、ダンテが鼻を鳴らした。
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