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リオンは手を伸ばし、ダンテの?を拭う。きょとんとしている彼が、なんだか可愛く見えた。──遠く感じることもあるけど、同い年の男の子なんだ。粉ってすごい舞うんだね、と笑ったら、その手を掴まれた。
「へ?」
近づいてきたダンテの唇を、慌てて止める。
「っちょ! い、いきなり」
「なにか問題でも?」
「だって……びっくりする」
「じゃあどうすればいい」
「……キスするよ、とか、言ってほしい」
なんかそれも変な気がするけど。というか、恋人でもないのにキスしてる時点で変だけど……。ダンテはじっとリオンをて、手を離した。
「キスしていいか」
「い、いよ」
大きな手のひらが、リオンの顎を上向かせた。ダンテの前髪が、リオンの前髪に当たって形を変える。唇が重なると、あまい薔薇の匂いがした。
──なんか、いつもよりながい、気がする。
唇が離れていくと、リオンは顔を赤らめて目を伏せた。なんだろう、この雰囲気。いつもみたいな、性急なキスとは違う。
何か言って。でないと、勘違いしてしまう。今のは、呪いを解くためのキスじゃないのかもしれない、って。
ダンテが眉をあげ、鼻をつまむ。
「──くさい」
「へ? きゃー!」
フライパンから、ぷすぷすと黒いものが出ていた。
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