兄×弟

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兄×弟

 ダンテと同居を始めて一月余りがたった。一月の間、特に何事もなく──といったらなんだが、同居生活を送っていた。問題といえば、そう……  魔術院の廊下に、予鈴のチャイムが鳴り響いている。屋上のフェンスに背をつけたリオンは、真っ赤になりながら、ダンテを見上げていた。 「あ、あの、ここでするの?」 「ああ。何か問題が?」  問題はある。ここは学校だし、誰かが通りかかったら確実に見られるのだ。さらさらと流れる黒髪、緋色の瞳は血のような赤。見つめられているだけで、喉が乾いて、身体が熱くなる。 「家に帰ってからでも……っ」  近づいてきた唇に、リオンはぎゅ、と目を瞑った。彼はためらったりはしない。ダンテの唇が重なった瞬間、くらくらするような、薔薇の匂いがした。真っ赤になってふらふら頭を揺らすリオンに、ダンテは呆れた声を出す。 「いつになったら慣れるんだ、おまえ」 「慣れないよ……」
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