67人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ」
思わず声を漏らす。現れたのは、ダンテだったのだ。リオンは慌ててじょうろを置いて、屋上の陰に隠れた。隠れる必要などないはずなのだが、また嫌味を言われるのは嫌だった。
どくどく心臓を鳴らしながら様子を伺っていたら、ダンテに続いて女の子が歩いて来た。彼は女の子と向き合い、無関心な口調で尋ねる。
「話って?」
リオンは、建物の影から、こっそりと彼らの様子をうかがう。
──わ、かわいい子。ダンテの向かいに立っていたのは、まるでお姫様みたいに可憐な女の子だった。彼女は顔を赤らめ、
「あの……私、ずっとあなたが好きだったの」
これ、告白だ。告白されているのはダンテなのに、なぜかリオンの心臓が高鳴り出す。
「へえ」
あくまでも冷えた声に、リオンは息を飲む。
「付き合って、ほしいの」
彼女は恥ずかしそうに瞳を揺らす。リオンは、自分のことのようにドキドキした。
「いいよ」
え。その返事に、リオンは目を見開いた。あんなに冷たいリアクションをしておきながら、オッケーするなんて。
「ただし、俺の花魔術を破れたら」
次いで告げられた言葉に、リオンはまたギョッとした。女の子も驚いたようだったが、意を決したように頷く。
最初のコメントを投稿しよう!