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再び門へ向かったルーベンスを見送り、アルフレッドは、ダンテを玄関に連れていく。上り口に座らせ、問いかけた。
「野宿って? リオンはどうした」
「あいつは……俺がいると、迷惑らしいからな」
「そんなこと気にするなんてダンテらしくないぞ。リオンのことが好きなんだろう?」
──すき。
「俺は、恋なんて、しない……」
ふわふわした綿毛、柔らかい白銀の髪、夕暮れのようなオレンジの瞳。からかうとムキになって、触れるとすぐに赤くなる。リオンを見ているだけで、心にまで絡まった薔薇の蔓が、ほどけていくようだった。
だけど、この呪いの棘は、きっとリオンを傷つけるから。触れなくても、ダンテの棘はひとを傷つける。だから、一人でいなくてはいけない──そう思った瞬間、ずきりと心臓に痛みが走る。
「っ」
どくどくと心臓が嫌な音を立てている。なんだ、これは。今までと違う。冷や汗が額を流れ落ちる。服をぎゅっと掴み、倒れ込んだダンテを、兄が慌てて抱き起こす。
「ダンテ!」
──胸が痛い。張り裂けてしまいそうだ。俺はこのまま、死ぬのだろうか。
死にたくない。誰でもいいから、俺を助けてくれ。この苦しみから解放してくれ。腕を伸ばしたら、ほっそりとした手がダンテの手に触れた。
「大丈夫よ、ダンテ」
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