第2話 降りそそぐ結果とパラパラ納豆チャーハン

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 丸腰低スキルニート、乃ノ太郎。  地獄の門を叩く気持ちで臨むところであります。  【問い合わせ】の欄がパクリと白い口を開けている。  それさえ最初の方に出てくるザコモンスターに見えてくる。  ゲームなら気にせず剣でつついたろう。  だが忘れてはならない。  私、乃ノ太郎は丸腰なのだ。  自信のじの字がZの端っこの分もない今の私は、この牙のない四角い口ですらなめてはいけない…。    卒業生の者です。  就職の活動についての面談をお願いします。  未就職ですが、相談にのっていただけますでしょうか。  …あとは、あとはsendボタンをクリックするだけだ。  そこを押せばミッションコンプリート。  そこさえ押せばっ!!  うるぁああああああああああああっっっ!!!!!!    …カチッ…  【  メッセージが送られました  】  面談の予約メールを送信した。  これがダメなら職安だ。  返事が来なかったらもしかしたら私は気づかず死んでいて幽霊だったとか、そういうことかもしれない。  昔から自動ドアが開かないタイプだ。  回転寿司のタッチパネルにも無視される。  納豆チャーハンの栄養が一気に失われた。  お腹がぐぅ…と鳴る。  「もう夜だしなあ…」  「ナァァン…」    お疲れさま、と言われた気がした。  本当はバカじゃねえの、かもしれないけど。  まあ実際はごはーん、くらいだったりして。  チート…じゃなくニートスキル持ち乃ノ太郎は、こうして就活デスロードに足を踏みだ……わずかに爪先をかすめるに至ったのだった。
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