第3話 恐怖のカメムシとイタリア風まつたけおじや

5/6
前へ
/113ページ
次へ
 近頃なんだか胃の調子が悪い乃ノ太郎。  とくに最後に友達と遊びに行った時、あれは最悪だった。  友達と別れたあと、昼間に食べたパンケーキに乗っていた大量の生クリームに胃が驚いたせいか帰りの駅のホームでリバースした。  その最低な事件はまだ記憶に新しい。  胃が痛むのはそもそも珈琲を飲み過ぎていることに原因があるのはわかっている。  運動不足だし、くわえて最近辛い食べ物が好きになった。  いつもならホットコーヒーを大量摂取する冬、だいたい1?2月頃に胃を痛めるのが常だったが今年はすでに時折痛む。  そうだ、おじやにしよう。  我が家のおじやといえば白だし白ネギ卵に米で相場は決まっている。  でも今日はちょっとチャレンジ…というか手抜き。  湯を沸かす。  そこに落とすのはもう冷えてしまった朝炊きの十六穀米。  十六穀米は優秀だ。  でんぷんだけでなくビタミン類も米を食べただけの気分で身体に取り入れられる。  彩りもいい。    穀物類はお湯の中でぐらぐら徘徊をつづけている。  はて何を入れようか…。  冷蔵庫をあける。  まず目についたのは扉裏のポケットだ。  使いもしない付属の調味料でついつい埋まりがちのここに目がいった。  小さい醤油に、アメリカンドックについてきたケチャップマスタードに…  そういうものはとっておいても使わずに賞味期限を切らすのだと最近気づいて捨てるようにはなったが、"いつか使うような気がするもの"はゼロにはならない。  …あ、これ。  〈松茸のお吸い物の粉〉  今日はこれにしよう。  適当に鍋に投入するがこれではお吸い物に米を突っ込んだだけになってしまう。  どうすれば味に変化が起きる…。  醤油…だと醤油味のお吸い物だ。  酢…っぱいおじやはなんか嫌だ。  砂糖…入れたら涙でそう。  白だし…すでに味の濃さ十分ですけど。  みそ…みそ汁だよねそれ。  チーズ…はないし。  うーん。  あ。  香辛料の引き出しをあける。  きっとここにヒントがある。  
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加