第3話 恐怖のカメムシとイタリア風まつたけおじや

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 ローズマリーは違う、カレー粉は気分じゃない、胡椒もちがうし。  ココアパウダー、シナモンは論外。   バジルだ。  バジルといえばトマトだ。  乾燥バジルを鍋に振り入れる。  野菜庫にあったプチトマトを洗って放り込む。  ぐつぐつぐらぐら泡を立てる鍋はもうイタリア気取りの顔だ。  そういえば粉末の柚子胡椒が冷蔵庫に。  思い出したように黄色の粉を散らす。  トマトの赤にバジルの緑、紫の米に黒い豆、黄色い柚子胡椒とプチプチの粟。  けっこう賑やかになってきたじゃないか。  ほどよく煮つまってきたところに溶き卵を回し入れて。  味が足りなければ塩をふる。  洗い物はなべひとつ。  きのこひとつも入ってないけど、手抜きイタリア風まつたけおじやの完成。  松茸のお吸い物とバジルが意外と馴染むさっぱり味。  お好みで一味をふれば味にさらなる変化も。  あつあつをさらにもう一口、もう一口と口に運ぶ。  おいしいけど…普通の味だ。  お吸い物のもとが旨いのだからまあ、そりゃそうか。      
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